「こんにちは先生、きちゃった。」 聞き間違えかとおもった。 扉の方にばっと顔を向けると、センスの良い私服に身を包んだ女性ーーー。 「蒼井……。」 俺はがたりと立ち上がって呆然と彼女を見た。 聞きたいことはたくさんある。 なぜ今まで会いに来なかったとか、 今はなにしてるとか、 恋人はいるのかとか、 …もう三十路になるのに、彼女のこととなると変わらず焦る自分におもわず苦笑する。