「ちょっと橋村先生、なに寝てるの。」


頭を振って切り替えた私は電気をつけながらつとめていつも通りにそう言った。


「うわっ…俺寝てたのか。
悪いな、ってか体は?大丈夫か?」


寝起きの先生はわたわたしていて可愛い。


初めて見る一面に、思わず声を立てて笑った。


「楽になったから、大丈夫。
…そろそろ帰らなきゃ。」


高校三年生の私は部活に入ってない。

こんな時間まで帰らないと親が心配する。


「…遅いし体調も悪いから送って行く。
クラスのやつに荷物持ってきてもらっといたから。」


「さすが先生。」


なんでもないことのように言う先生が、少しは私を意識してくれてたら嬉しいなんて思ってしまう私は本当にばかだ。