水戸先生をチラ見した女子生徒は、ちぇ、と口を尖らせて保健室を出ていった。



「流石です、水戸先生。」

「若い保険医は大変ねぇ。」


恰幅のいい彼女はそう言って目にシワを寄せて笑う。


…そう。


漫画のように保健室に若い男ひとりなんてシチュエーションは現実にない。


「あとは頼むわね。」


ただ、不定期な彼女の欠勤や早退の日だけこの保健室は俺だけの職場となる。