「ねぇぇぇぇ花奏も着いて来てよぉぉぉぉぉ!」
「仕方ないでしょ!透が貴女一人なら病室に入れられるって言うんだから!」
「あたし病室まで一人で行けないよぉぉぉぉぉ!」
「どうしてもって時には看護師さんに連れて行ってもらいなさい!私はとにかく来ちゃダメって言われてるんだからそうするしかないの!」
…朝に届いたメールは花奏からのものだった。急遽今日の夜、たったの三十分だけ面会の許可が下りたらしい。…しかし透の意向で、花奏は部屋に入れたくないらしい。つまり、あたしだけ来いと言うのだ。
「何もちょっと広い病院を一人で歩くだけでそんなに泣かなくてもいいじゃない…ね?万が一迷子になっても看護師さんがあちこちにいるんだから。声かければ大丈夫!」
「やだやだー!花奏が病室の前まで連れてってよー!」
「だから私はロビーで待ってろって指示されてるんだから無理なのーっ。」
花奏がそう言ってあたしを撫でた。…最近子供扱いに文句を言う前に自分の行動を見直してみようと思った。高校三年生という年齢にして病院を一人で動く程度で泣いている様じゃ子供扱いされて当然だなって思った。行動を改めよう…あたしは大人になる!
「全く…絵里子が大人になるなんて到底無理ね…。」
「ええーっ!?そんなぁーっ!」