「…好きです。貴方の事が。」
…どうせ何を言ってもふざけるからなるべく真剣さが伝わる様に言った。…透くんは黙った。いつになく真剣な表情。…どうしよう、こんなのドキドキが増すばかりだよーっ…。
「…待ってたよ。絵里子。」
透くんはそう言って表情を緩めた。
「気ぃ遣って言ったんじゃないよな？」
「こんな事に気遣ってたらキリないじゃん…。」
「…照れてる。かわいっ。…抱き締めて良い？」
「いっ…いいよ？」
「サンキュー。」
透くんはそう言うとあたしを抱き締めた。透くんに抱き締められたのは実質二回目。一回目はほとんど何が何だか分からないうちに急にされた様なものである。…今回はちゃんと抱き締めてもらえている感覚が分かった。細く骨ばった腕でしっかり。
「…ちぃせぇなお前。」
「またそうやってバカにして…。」
「ははっ、わりぃわりぃ。…俺が守ってやっから。」
「もー…恥ずかしいよー…。」
顔を見られたくなくて透くんの胸に顔を埋める。透くんはあたしの頭を撫でた。いつもみたいに子供扱いじゃない、愛する女の子に対する扱いだ。
「…恥ずかしくて逃げねぇのか？」
「もう…大丈夫。」
「恥ずかしがってんのは相変わらずみたいだけどな。」
「うっ、うるさいなぁ…！」
「かわい…ホンット可愛いわ、お前…。」
透くんはあたしを一度離し、あたしの両肩を掴んだ。