「…ねぇ、透くん。」
「んー?なぁにー、絵里子。」
またそうやって小さい子の話を聞くみたいな態度…調子狂うなぁ…。
「…透くんはあたしの事、どう思ってる?」
一番初めになんて言おうか考えに考えて思いついた質問がこれだ。自分の気持ちを言う前に相手の気持ちを聞くなんて卑怯なのは分かってた。だけど…前に好きって言ってくれた時から気持ちが変わってないか確かめたかった。
「…どう思ってると思う?」
「んもうっ!意地悪しないで!」
「ははっ、そういう反応が可愛いから意地悪したくなっちまってな。」
結局真剣な話を持ちかけても真面目に聞いてくれないんだからっ!透くんのバカバカッ!
「…好きだよ。今もその気持ちは変わんねぇ。」
いたずらに笑っていた透くんが急に真剣な表情をしてそう言うから思わずドキッとする。
「他の女の子に目移りしたりしたんじゃ?」
「あるわけねぇだろ。絵里子に気持ちを伝えてから学校でも…もっと言ってしまえば病院でも何人かに告白されたけどな、全部断ったぜ。『俺には好きな奴がいる』って理由付きで。」
「その好きな奴って…?」
「決まってるじゃん。君の事だよ、絵里子。」
…何これ。すごくドキドキする。透くんがあたしの事を見つめてくる。いつにもなく真剣な眼差しで。あたしの目線に合わせて少し屈んでいるみたい。顔が近いよぉ…。