病院の屋上は学校の屋上よりもずっと高い。…高所恐怖症というわけではないけどちょっと怖い。
「ははっ、怖いのか?子供だなー。」
「うっ、うるさいな!」
相変わらず子供扱いして…この一週間で少しは大人になれたと思ってたんだけどな!?
「…俺、やっぱり屋上を好きになるんだろうなぁー。」
点滴が繋がっているせいで寝そべる事も座る事もできない透くんは軽く伸びをする。
「…俺さ、絵里子と電話する時はいつもここにいたんだ。つーか基本暇な時はここに来てた。」
「へぇー…他の患者さんも結構いるんだね。」
辺りを見渡すと車椅子に乗った人や透くんと同じ様に点滴が繋がっている人がちらほら見える。
「まぁなー。入院中外に出られねぇ分空気だけでも吸いに来るんじゃね。」
透くんは思いっきり深呼吸してみせた。
「んー…俺生きてるわ。」
空を見上げる透くんの顔は輝いていた。…話すなら今だなって思った。お調子者の透くんがふざける前に。