「あたしもお兄ちゃんみたいな人と付き合いたいなー。」
「っ…きっと…付き合えるよ…っ。」
「お姉ちゃん…?どうして泣いてるの…?」
「ごっ…ごめんね…?」
女の子の素直な言葉に不意に涙が出てしまっていた。…あたしも付き合いたかった。透くんと。想いをちゃんと伝えたかった。好きになってもらえてたのに…なんであの時すぐに「あたしも好きだよ」って答えなかったんだろう…。この時間になってもまだ花奏から連絡は来ない。…もう、ダメなのかもしれない…。
「お姉ちゃん…泣かないで…泣かないで?」
隣であたしの顔を覗いている女の子の目からも涙が零れていた。
「貴女こそ泣いちゃダメだよ…幸せになってね。…ほら、ママ達が呼んでるよ?早く帰ってお家でご飯食べな?」
「やだよ!お姉ちゃん泣いてるんだもん!やだやだーっ!」
女の子は遂に声を出して泣いた。…ごめんね、小さい子を泣かせるなんてあたし最低だ…。
女の子のお父さんとお母さんが泣き声に気付き、近くまでやって来た。
「ちょっとベンチから落ちちゃったみたいで…。」
と誤魔化した。お母さんに「面倒見てくれてありがとね」と言われ、女の子はそのまま抱っこされて帰って行った。…姿が見えなくなっても、しばらく泣き声はあたしの耳までしっかり届いた。