「…お姉ちゃんは幸せ者だねーっ。」
「えっ?どうして?」
「だってあんなに素敵な彼氏さんがいるんだもん!」
「かっ、彼氏!?」
あたしは女の子の突然の発言に思わずたじろいだ。
「あのねっ、パパとママが『あのお兄ちゃんとお姉ちゃん、素敵だねー。』ってあたしに嬉しそうに話してたんだよっ!で、お兄ちゃんはお姉ちゃんの彼氏で、お姉ちゃんはお兄ちゃんの彼女!」
…やっぱりあたし達、誰に聞いても付き合ってる様に見えるのかな?そしてお父さんとお母さんはこんなに小さい子に随分豊富な知識を与えたものだ。…多分、透くんとは前の彼氏よりもたくさん話している。それに今まで触れられる事が恥ずかしくて逃げていたのに、今は透くんの強引さもあって頭を撫でられても、この間みたいに抱き締められても逃げない様になった。…多分あたし、すっごく透くんの事が好き。恥ずかしさなんて吹き飛んじゃうくらい。
「お姉ちゃんはお兄ちゃんの事、好きー?」
女の子はニコニコとあたしの顔を覗いて来た。
「…うん、大好きだよ。」
「そっかぁ!あたしもあのお兄ちゃんの事好きだよ!」
そう語る女の子の笑顔はとても幸せそうだった。