さて、俺がここに来たのは、あの日の約束を果たしてもらう為です!


いきなり、家にやって来て、勝手に話を始めないでよ!


結花理が、口を挟む。


いきなり?俺が来る事は何となく、分かっていたでしょ?叔母さん!


--------叔母さん?


あれ?もしかして、言ってないんですか?


ど、どういう事なの?お母さん!


結花理、黙ってなさい!


叔母が、結花理にそう答える。


叔母さんが言わないのなら、俺から全てを話しますよ?良いですね?


ええ、あなたには、その権利があるわ!


朱音と結花理は情況が理解出来ないでいた。


あの日、今から12年も前の話になります!


すると、音弥が静かに語り始めた。


俺は、当時、まだ5歳でした、あの日は家族と遊園地に遊びに行って、レストランで食事をした帰りの出来事でした、俺達家族は衝突事故に巻き込まれました、車は大破して俺も怪我を負い病院に運ばれました、目が覚めた時は病院のベットの上でした、最初は何が起こったのか分からなかったけど、少しずつ、全てを思い出しました、俺は直ぐに両親と妹を探しました、そして、両親を見つけました、遺体霊安室で!両親は即死でした!


あの日の事は、忘れていないわ、あの日の姉さんの顔は!


--------姉さん?


この子は、私の甥っ子なのよ!

え?


叔母の言葉に驚く、朱音と結花理。


話を続けますよ?


ええ、ごめんなさい、続けて!


俺は悲しみに暮れていました、俺は妹の事を思い出しました、妹がいない、俺は看護師さんに聞きました、すると妹は奇跡的に助かったんです、病室で眠っていました、つまりは、俺と妹だけが、生き残ったんです!当時、妹は、まだ4歳になったばかりでした、俺はあの時の妹の顔を鮮明に覚えています、この時、俺は亡くなった両親に誓いました、この子だけは、妹だけは俺が死んでも守ると、それから、妹は少しずつ回復していきました、しかし、妹は事故の事も、両親の事も俺の事も覚えてはいませんでした、ショックでした、この世で一番大切な妹から俺の事が忘れ去られていたんですから!しばらくして、俺は施設へと妹は叔母さんが引き取る事になりました、俺は反対しました、絶対に妹と離ればなれにはなりたくなかったから!


ちょ、ちょっと待ってよ!妹ってまさか!


そうよ、結花理は私の本当の子供じゃないのよ
、姉さんの子供、音弥の実の妹なの!


--------え?


朱音が驚いた顔で音弥を見つめていた。


結花理さん、あなたは、おかしいと思わなかったのですか?突然、女の子が家にやって来て!


だって、あの時はお母さん言ったじゃない、この子は体が弱くて、親戚の所に安静の為に預けていたのよって、今日から、家族で一緒に暮らすのよ、あなたの妹よって!


なるほど、実の娘として、結花理さんには紹介していたんですね?叔母さん!


ごめんなさい!言えなかったの、朱音は記憶が無くて、結花理にも、本当の妹としてしか、紹介出来なかった!


----------お母さん


そんな事は、些細な事です、俺が、ここへ来た訳は、もう分かったですよね?


ええ、朱音を連れ戻しにでしょ?


----------!


朱音が息を飲む!


俺は言ったハズですよね、必ず、朱音を連れ戻しに行くって!その時まで、待っててって!


ど、どう言う事なのよ、お母さん!


結花理さんでしたっけ?何も知らないんですね
、叔母さんも二人には話して無い様ですね!


音弥が、じっと叔母を見つめる。


--------ええ、話す機会が無かったのよ!


そうですか、じゃあ俺から話します、その為に来たんですから!


音弥は、叔母にそう伝えると、話を始める事にした。


朱音ちゃん、座ってくれるかな?


朱音は音弥にそう言われ、静かに椅子へと座った、そして音弥が語り始める。