夏------今年で、16年目の夏を迎える、私は夏がキライだ、夏だけじゃない、私はこの世界その物がキライなんだ、私は独りぼっち、生まれてからずっと独りぼっち----------私には家族がいる、母とそして私がこの世で一番嫌いなアイツ
(姉)両親ともに何でも出来る姉、結花理ばかりがチヤホヤされてきた、いつもいつも言われる
お姉ちゃんは何でも出来るのにどうしてお前はって、正直ウザい、どうでもいいよ、私は友達も居ないし、学校でも独りぼっち、いじめを受けた事だってある、親に相談しても、お前の性格が悪いから、いじめられるのよ?って、ふざけんな!私は私だ!何も悪くない、悪いのはこの醜い世界の方だ、私なんかいなければ、生まれて来なければ-------何度も思った、何度も死のうとした、でもまだこの世界に生きている!
私は何?私の存在価値はどこにあるの?神様なんていない!私には何もない、死ぬまできっと
独りぼっちなんだ、はは、笑えてくる、神様本当にいるのなら、どうか私を殺して下さい。

目覚ましが部屋中に鳴っている--------!

------うるさい!

苛立ちながら、時計を止める。

朝----か、またどうでもいい毎日の繰り返し


その言葉は、呆れるくらい簡単に口から出た。


さっさと、学校に行こ!


着替えを済ませ、家族の顔さえも見ずに家を飛び出した。


本当は学校なんて行きたくないのに!


だって、そうでしょ?私の居場所なんて無いんだから。


また、イジメられる------心の哀しみが溢れていく。


おはよう!


------おはよう、ございます!


校門前に居た、先生に挨拶をする、本当は死ぬ程、したくないのに!


帰りたい!


教室を目の前にして、口から漏れる、そっと扉を開けて教室の中へと入っていく。



来た来た、今日も相変わらず、気持ち悪いですね~!

ホントホント、死ねばいいのに!



言葉の凶器が、私の胸に突き刺さる。


(死ねるモノなら、私だって死にたい)


私の、そんな心の声を知ってか、知らずか、さらにクラスの女達が罵声を浴びせる。


何を、黙っているのですか~?死ぬ気になったのですか~?さっさと死んでくださ~い!



--------ん!


私は、悔しさと怒り、そして悲しみでどうにかなってしまいそうだった。


(じゃあ、私を殺してよっ!)


耐える、耐える、苦痛を耐える…!壊れて消えてしまいたい。


(今すぐにでも、消えてしまいたい!)


私が死んでも、誰も悲しまない!苦しまない!
私はこの世界の邪魔者だ。



(帰りたい------帰りたいよ!)


私の辛い学園生活は、地獄そのものだ、耐える
耐えて、無事に家へと帰り着く、それが今の私の細やかな願いなんだ。


(早く、終わって!)

辛い、辛い、辛い、痛い、心が苦しい!


(は?)


ふと気が付くと、授業を終えるチャイムがなっていた、これで、帰れる、早く帰りたい、私は一刻も早く、この場を去りたかった、だけどこの後、私に本日の地獄が待っているなんて思っていなかった。


(早く、早く早く!)


カバンを手に持ち、クラスを後にする、しかし
クラスの女達に捕まってしまう。


(あ!)


私は終ったと思った、神様は、私をとことん苦しめたいらしい。


ちょっと、一緒来てくれるかな?

さっさと、こっちに来いよ!


私は一人の女に髪を掴まれ、トイレへと連れていかれる------そして、ここからは、思い出したくもない、地獄の出来事だ。


お前さ、存在がウザいって気付かないの?

バカ?お前見てるとイラつくんだよっ!


殴る、蹴る、罵声を浴びせる、押し倒され水をかけられる、いつもの事、痛みも悲しみも私の心には、何の感情も沸いてこなかった。



死ね、死ーね、お前なんか死んじゃえば?

どうせ、お前が死んでも誰も悲しまないしさ!



(そんなの、私が一番分かってる!だったら今すぐ、ここで、私を殺して!)


分かったか、ブース!あはははっ!


あースッキリした、帰ろ~、ねぇカラオケ寄ってこうよ!


お、いいね~!行こ行こ!


私を散々、イジメた女達は、私なんか最初から居ないみたいに、会話をして、その場を去っていった。


痛ったっ、結局、死ねなかったな!


私は汚れを落とす事もせずに、トイレを後にした、独りぼっちの、下校時間、まだマシだ!



私は、死にたいのに、どうして、簡単には死なせてくれないの?


私の苦しい切ない想いは、空しく空に消えていく、すると、小さな仔猫が、私の視界に入る。



どうしたの?ん?お前も独りぼっちなの?



にゃ~ん、ペロペロ!


仔猫は、私の指を優しく舐めた、まるで私の苦しさを脱ぎとる様に。



はは、お前は優しいんだね、ありがと!


この時の私の顔は、きっと悲しい笑みだったと思う。



------見つけた!


仔猫と、遊んでいた私には、この時、誰かが私をじっと、見つめていたと言う事に気付いていなかった。



こら、ペロペロしちゃダメだよ!



やっと、お前を、俺の側へと連れていける、お前の幸せは、俺が必ず、作ってやる、もう少しの、辛抱だ、朱音!


バイバイ、仔猫ちゃん!


仔猫に手を振ると、私はその場を離れた、帰りたくはない、自分の家へと戻る。



如何なさいますか?音弥坊ちゃま!


決まっているだろ?さっさと準備を始めろ!


はい、かしこまりました!


音弥にそう言われ、執事は、車を走らせる。



朱音、待っていろ、お前の幸せは俺の側で叶うんだ、俺の朱音、俺だけの朱音!



音弥達の車は、朱音を追い越し、ある場所へと向かって行った。



------ただいま


朱音が、無事に家へとたどり着いた、家の中へと入って行くと、そこには見知らぬ男の子が立っていた。



お帰り!


音弥が、朱音に挨拶をする。


--------あなた、誰?

秘密!ふふ、さてと、朱音ちゃんも戻って来た事ですし、話を始めましょうか!


誤魔化さないでよ、いきなり人の家に上がり込んで来て、何なのよ、あなたは!


すると、そんな音弥に疑問の言葉を投げ掛けたのは朱音の姉である、結花理だった。


朱音ちゃんだっけ?悪いけど座ってくれるかな?話をしたいから、ん?


音弥は、結花理を無視すると、朱音に話し掛けた。


は、はい


朱音は、音弥にそう言われ、静かに席に着いた
そして、音弥が静かに語り出す。