一応家の中を一通り探してみるが、誰もいない。 机の上を見てみたけど、置き手紙なんてものは見つからなくて、寝起きだというのに背中を汗が伝う。 携帯を確認してもなんの連絡も入っておらず、指をスライドさせて“莉乃“の名前と共に表示された電話マークに触れた。 『もしもしー?』 何回かのコール音の後に聞こえたのんきな声。 声色からして、想像しかけたような事態ではなかったと一瞬安心した。