「…ケント?」


小学校卒業以来、5年振りの再会。
背が伸びて声もすっかり変わっていたけど
どことなく面影の残る顔立ちにおもわず笑みがこぼれた。


背中に店長の視線を感じたため
会話はそれきり。けれど元気そうな姿と
彼女の存在にしばらくニヤニヤが止まらなかった。あのケントがねぇ…


バイトを終え店を出ると、つい数時間前に顔を合わせたばかりの彼がいた。
待ってた、帰ろう。さっきのは彼女じゃないよ、なんて生意気。


それにしても久しぶりだねと言いあいながら歩く。
会っていない数年間、話したいことや聞きたいことはたくさんあるはずなのに
何だかうまく口に出せないままケントの声を聞いていた。