シマもケントも大きく頷き、缶を手に現れたカンちゃんに
「10年後の8月に開けるから、長生きして下さい!」
と4人で頭を下げると、頭上で朗らかな笑い声が響いた。
タイムカプセルは、庭の1番陽の当たる木の下に埋めた。
「ケントは、春から違うんだよな学校。皆、離れてもうちの孫をよろしくね」
私立に通うケントと、公立のわたし達。
学校は変わっても、家は近いんだからいつでも会えると思っていた。
思っていたのに、いざ新しい生活が始まると、ケントとは道ですれ違うことさえなかった。
それより驚いたのが、あんなに毎日一緒にいて、同じ中学へ進んだシマ、ユリと疎遠になったことだった。
スポーツ万能のシマは野球部へ。
部活やクラス外での友人も多く、いつも輪の中心にいた。
ユリはさらに可愛くなり、同級生にとどまらず先輩から告白されることもあったらしい。
わたしは、好きな絵を描き続けるため美術部へ。
そこでできた友人と過ごす日々を送っていた。