翌日、約束通りに集まったわたし達は
手紙と宝物をお互い見えないように缶に入れた。
カンちゃんがタイムカプセルの蓋をテープでグルグル巻きにしてくれている間
縁側でカンちゃんお手製のクルミのお餅を食べながらシマは言った。
「いつ開ける?」
「…大人になってから?」
「大人って何歳?」
「やっぱりハタチだよね」
8年後かぁ…長いねぇ…などと話していると、いつも冷静なユリが珍しくソワソワしながら、あのね、わたし、好きな歌があって、と言い出した。
「できたら、10年後の8月に…また皆で会って、タイムカプセル開けたいなぁ」
そのとき、わたしだけじゃなく、シマやケントの頭の中でも、当時流行っていた曲のメロディーが巡ったと思う。
めったに自己主張をしないユリの発言が嬉しくて、うん!10年が良いよ!10年にしよう!とわたしも賛同した。