「カンちゃん!タイムカプセル埋めさせて!」


玄関を開けるやいなやシマがそう叫ぶと
長い廊下の奥の部屋から、ハイハイとカンちゃんが現れた。


「おー綺麗な格好して。卒業式だったか。おめでとう」


式を終え、そのままの格好で来てしまった私達に優しく笑いながら、部屋にあげてくれた。


タイムカプセルの説明はケントに任せた。カンちゃんは快く承諾してくれた。
シマは大きくガッツポーズをして
わたしとユリはハイタッチで喜んだ。


タイムカプセルは日光甚五郎煎餅の缶。
入れる物は、未来の自分への手紙と宝物。
明日の午後、カンちゃん家に再度集合するということで別れた。


わたしの宝物って何だろう…
家に着いて、家族に卒業のお祝いをしてもらっている間もずっと考えていた。
その夜、何度も書き直した手紙と、宝物を一緒に鞄につめて眠った。