「やっぱユリってリア充だよね」


雑誌を元の位置に戻し横を見ると
ケントはいなかった。
店内を探し回っていると、参考書のコーナーに佇む彼を見つけた。


「恥ずかしいなぁ一人で喋ってたよ」


苦笑する私をじっと見つめると


「俺、ユリの彼氏と同じ大学行こうかな」


誌面にイニシャルで書かれていたその大学は、恐らくあそこだろうなと特定できるけど…


「何で?」


「…いや、嘘。忘れて」


受験ノイローゼーと軽い口調で呟きながら、店を後にする彼に続く。


その後、会話の中でユリの名前が出ることは一切なかった。
そうしてまた私達はそれぞれの生活に戻った。


タイムカプセルの約束まであと4年。