「それを言うなら、あなたもでしょう?
ここなら、あなたに会えるかと思って
待ってたんです」

「私に…?」

「はい。授業が終わって待つより、
こうする方が確実に会えると思ったから」


碧海さんがニコッと笑う。



「…それで、用というのは
郁くんのことで、です」



”郁くん”



彼女の呼び方に、私は
突っかかりを覚えながらも続けた。



「郁ちゃ…郁翔のことって?」


私が尋ねると、碧海さんは
いきなり私の両肩を掴んだ。



「!?」

「…郁くんを、これ以上苦しめないで…」


俯いたまま碧海さんが言う。



「今朝の郁くんの様子で、あなたも
分かっているでしょう?
あなたのこと、必死に探し回って
あんなにボロボロになってる……」

「……」

「…ねぇ、あなたと郁くんって、
なんなの…?
ホントにただの幼馴染み…?」