私はそう言うと、屋上を出ていった。


その後に棗ちゃんに、先に帰ると
メールを流して、私は帰ることにした。



「…はぁ…」


とぼとぼと校門の近くまで歩いてきた。




「綾瀬…ひよりさん?」

校門前で声をかけられた。



「あ…」


(この人…!)



そこにいたのは、郁ちゃんの隣にいた
あの彼女だった。



「えっと…覚えてないかもだけど…。
とりあえず…初めまして、かな?」

「…?」


彼女の意味深な言葉に眉をしかめる。



「…私、結城碧海っていいます。
郁くんとは…中学の頃から
お付き合いさせてもらってます」

「……」



今更、驚くことはない。

この人が郁ちゃんの大切な人だってこと、
分かってたから。



「…あの、何の用ですか?
今は授業中のはずですけど…」


私は頬にかかる髪を払いながら尋ねた。