「やるな!」
「…っ、あなたの目的はなんなのですか!」
「お前を捕まえることさ!」
キィン、と刃がぶつかりあう。
ビリビリと手に衝撃が走るが、ティアは短剣を離さない。
ティアの本名を知っており、捕まえることが目的。
間違いなく目の前の男は追手だ。
「私は商品ってわけですか!なら、キズつけたらまずいんじゃないですか?」
「キズなしで連れてこいって言われてるわけじゃねえ。それに、捕まれって言われておとなしくついてくるのか?」
「ごめんですね!」
ティアは俊敏性を生かし、相手の脇腹をねらう。
しかし、切っ先は当たることなく空を切った。
「おっと!」
男は避けるとティアと距離をとった。
「危ない危ない。それ、毒が塗ってあるだろう。当たるわけにはいかないね」
男は剣を肩にトントンとあてて余裕の表情を浮かべている。