ちょっとだけ泣きそうになったのをグッと堪えた。
「つーか、兄貴なにスタイリングしようとしてんの?」
「え?ダメだった?」
「ダメに決まってんだろ」
「俺たちだってまだやってもらってないのに」
…兄貴ができた。
「そういえば、そうだったな」
「そういえば、じゃないから」
俺にとって兄貴は、優しく包み込んでくれる、大きくて温かい存在。
「今度俺たち以外に何かしようとしたら許さないから」
「あれ!?お前らそんなキャラだったか!?」
不器用で上手く伝えられなくて、
俺たちでも戸惑うほどの気持ちを真っ正面から受け止めてくれる。
「これからは素直に甘えることにしたー」
「俺たち甘え始めると止まんないから、覚悟しといて」
いとも簡単に俺たちの氷ついた心を溶かして、信頼をかっさらっていった。
「なぁ、兄貴…」
「?」
兄貴が兄貴になってくれて、ホントによかった。
「…ありがとう」
「!……おう!」
ニカっと笑う兄貴を見て思うんだ。
やっぱり兄貴には、敵わない。