でも。



「別に。なにもないけど…」




言えるわけねぇだろ。


兄貴を取られたみたいで嫌だった、なんて。



高3にもなって、こんなガキみたいな俺たちを知ったら、きっと兄貴は幻滅する。


だけど。



「嘘つけ。さっきから下向いてるし静かすぎんだよ。…ほら、言ってみろ」





そうやっていつも俺たちを見透かしてるような目をするから。



俺たちに、笑かけてくれるから。




…兄貴には、敵わないんだ。





「…嫌だったんだよ」


「嫌だ?」





何が嫌だったんだ、と言わんばりに兄貴が首をかしげる。




「…兄貴を取られたみたいで、嫌だったんだよっ」



「…は?」





ほら、意味わかんねぇっていう反応するじゃん。




クッソ、やっぱ言うんじゃなかった。