こいつらが兄貴と呼んでいいと決めるのは俺たちじゃない。
兄貴の勝手だ。
もうガキじゃないんだから。
それくらい許せよ、俺…。
そう思うのに。
なんで。
なんでこんなにも、泣きそうになるんだよ……。
「っと、ちょっとごめんな。親父から電話きたから抜けるわ。ちょっと双子借りるってカメラマンに言っといて」
え?
兄貴は俺たちの腕を掴むと、楽屋から連れ出した。
「ちょ、兄貴!?」
「どこ行くんだよ!?」
「ちょっとな。…んー、ここら辺でいいか」
兄貴は非常階段の近くまでくると、俺たちの腕を離した。
「ほら、俺になんか言いたいことあるんじゃねぇの?」
「「!!」」
なんで、分かるんだよ。
いつも、何で兄貴はそうやって、俺たちのことが分かるんだよ。