「ほ、本当に双子の兄なんですか!?」
広輝が信じられないという顔で兄貴に聞いた。
「おう、そうだけど…なんで?」
「いや、あの…信じられなくて。この腹黒の双子の兄貴がく、久遠さんだなんて…」
…腹黒で悪かったな。
「あははははっ!腹黒って!はっきり言うじゃねぇの!」
兄貴、そこ笑うとこじゃねぇだろ。
「よし、お前ら気に入った!これから撮影なんだろ?俺が衣装と髪やってやるよ」
え…?
兄貴のその言葉を聞いた瞬間、胸がドクンと嫌な音をたてた。
なんだ、これ…。
隣の蒼を見ると、蒼も俺と同じようで、顔が“嫌だ”と言ってるのが分かった。
「ホ、ホントですか!?やったー!!」
「俺ずっと久遠さんにスタイリングして欲しかったんです!」
「夢みたいだぜ!」
なんで、こんな気持ちになるんだろう。
兄貴を紹介したのは自分なのに。
「恋…俺、なんか…」
「分かってる。俺も同じだから」