「恋!蒼!」



俺たち双子の名前を呼んで、慌てたように入ってきたのは、もちろん。



「あ、兄貴早かったね」



まぎれもなく、久遠翔輝という、俺たちの兄貴。




「え?え?」



メンバーはポカン…と目と口を開いたまま固まっている。


何が起きているのかが理解できていないようだ。




「お前ら、大丈夫か!?」



兄貴はネームプレートを首から下げ、仕事の用具を入れたショルダーバックをつけたままだった。



おそらく仕事を抜け出して、そのまま駆けつけたんだと思う。




「恋、兄貴になんてメールしたの?」



蒼が横目で俺を見て聞いてきた。



「ん?『危険、早く駆けつけるべし』って送っただけ」


「うーわ、そりゃ兄貴が1分で駆けつけるわけだ」



俺たちのことが大好きな兄貴のことだからな。


こういうメールすれば絶対来ると思ったんだよね。




「おいコラ、お前ら…」


「「げっ……」」



見れば、兄貴が俺たちを睨みつけていた。


その顔は明らかに怒った顔。




「俺がどんなに心配して、わざわざ仕事を抜け出して来たと思ってやがる…」


「ま、待って兄貴!騙して悪かったと思ってる!」


「そうそう…っていうか、メールしたのは恋で、俺は何もやってないんだけど!」



「問答無用!二人ともお仕置きだ!」




ガシッと兄貴に掴まれて、二人してくすぐりの刑を受けた。




「く、くすぐったいって!兄貴!」


「兄貴、やめ……あははははっ!」


「反省するまでやめてやらねぇ!」


「反省、してるって!…ふはっ!ははは!」


「だからもう…ふははっ…やめろー!」