冬のピーンと張り詰めた空気の中に現れた君は、真っ白なコートを纏っていて、まるで冬の精かと思った。
「見すぎだよ」
君は、恥ずかしそうに笑う。
見惚れていた僕は、君以上に恥ずかしくて耳が熱くなったよ。
釘付けになるっていうのは、こういうことなのかもしれないな。
君はかじかむ手をコートのポケットにしまいこんでいるから、僕は真っ白なコートに焼きもちを焼いたくらいさ。
なんてことをいったら、きっと君は笑うんだろうな。
寒いのが苦手な君のために、暖かい手袋をプレゼントしたいけれど。
それよりも、僕の手の方がずっと暖かいから、手袋を渡すのはもう少しあとにしようと思っているんだけど、どうかな。
君の手を繋いで僕のコートのポケットに入れたら、君の照れた顔が僕を見つめていた。
その顔にまた見惚れていたら、一瞬を切取るのを忘れてしまったよ。
だから、その顔は心に焼き付けておくね。
たくさんの愛しい君の一瞬を集めたら、僕の両手からあふれ出して、笑顔溢れる幸せがみんなに伝染していくみたいだ。
この先も、ずっと集め続けるよ。
幸せな君の笑顔を――――。