ゆっくりと起き上がるが、倦怠感が募る。

まだ日は出たばかり。

いつもどおりの定刻だった。


「…参ったな」


疲れてるのかもしれない。


昨日が残業だったから、今日はあまり無理をしないで早めに帰らせてもらおう。

辛いようならば、昼休みにメイを補充しよう。

そう心に決めて、ベッドから降りる。


すると、ドアがノックされた。



「おはようございます、ルイ様。お電話がなっております」


メイドから声がかかる。

こんな朝早くにだれだとイラつきながら、「相手は?」と尋ねる。



「あの…ルイ様のお父様だと…」



「…っ!」

我が耳を疑った。

ルコーラ・ヒューアス、ルイの父だ。

ルイはほとんどつながりを絶っていて、
この家には初めて電話をかけてくる。


否、ルイが正式にこの家に住むようになってから、はじめて接触を取ってきたというべきか。

だからこそ使用人も父親と名乗る男に不審がっていて、このような態度なのだ。


「……」

今さら何のようなのだろう


(失敗作の僕に電話などしてくるなんて…)


まさか、メイのことがばれたのかと頭に浮かぶ。


いや、この場合ばれたのはリル達のことと言っていいだろう。

「…わかった、出よう」

かちゃりとドアを開けながら言えば、かしこまりましたと子機を渡される。

不安そうにこちらを見る使用人に、下がっていいよと軽く言って部屋の中へ。