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やけに屋敷内が騒がしいような気がして、また参考書から顔を上げた。



「…またゴキでも出たんでしょうか…」


メイは、前に起こった騒動を思い出しながらひとりごちた。


おかげで勉強が少しずつ途切れてしまう。


「……」


もうやめてしまおうか。

しかし、制服が欲しいメイとしては、もう少し頑張りたいところなのだが。


「……お外か…」


もうどれくらい出てないだろうか。


旦那さまに拾ってもらって、そこからご主人さまになって…


この生活が始まってから出れなくなったのだ。


別に苦痛ではない。


ご主人さまは優しいし、安穏としているし、怖いことなど何もないのだから。


むしろ、外の方が怖い。


何があるかわからない。

そしてその何かにいい事なんか何一つもなくって、必ず自分を傷つける。


だからこの部屋で、ご主人さまと過ごす日々のなんと幸せなことか。



メイは本気でそう考えていた。


否、そう考えるだけの理由があった。


「…はぁー…ご主人さまぁ…」


会いたい。

ほんの少し、不安になったこの心を優しさで埋めて欲しい。




それは、依存というべき愛であった。