「ほんっとうにルイ様には迷惑をおかけします。
こんのおてんばかなリルが…」


「まあティン、口が悪いですよ?」


「素行が悪いお前に言われたくない!」


叫ぶこの執事はティン・二グラス。

ミルクティー色をした髪の毛のせいか、それとも童顔のせいか。

とっても幼く見える。


たぶんリルと同い年ぐらいなのだろうが、下手したら中学生くらいに見えてしまう。


一国の姫君にタメ口はおかしいはずなのだが、二人の距離は単に執事と主人という関係ではないようだ。


「素行が悪いなんて心外ですわ。
私は活動的なだけで…」

「家出娘がっ」

「家出ではありません。冒険ですわ」


何を言ってるのやら、とルイはため息。

城にいるときも騒がしかったが、人の目がないからかここでは本当に自由だ。

騒がしくなりそうだ、と杞憂。


「…ところで姫様、ここでの暮らしの話ですが」



「はい」

「端に部屋があります、掃除や道具は一通り揃ってますので、そちらをお使いください。
部屋は絶対の警護をいたしますのでご安心を」

「まあ、ご丁寧に申し訳ありません。
でも警護は結構です、ティンがおりますから」


その言葉に瞠目する。


まさかこの細い男は、武闘派なのか。