部屋から出たルイは、メイを隠すように素早く扉を閉めてメイドに対応した。
「…」
今朝のメイドではないか。
メイを助けてくれたこの人が、仕事を理解してないとは。
内心彼女に失望していると、頭を下げて子機を渡してきた。
「申し訳ございませんっ!どうしても断れない用だと先方の方が仰るので…
事実、尋常じゃない様子でしたので」
「どうしても断れない?」
友達の悪戯だろうか、だったら今度そいつを殴ってやろう。
そう誓いながら、通話に出た。
『ルイかっ!?』
口を開く前に、相手が叫ぶ。
知った声に、言語に目を見開いた。
「に、兄さん!」
思わず日本語で叫んでしまう。
『なんだ今のは?日本語か?』
『あ…はい、申し訳ありません。いきなりだったから驚いたもので』
『無理もない、本当にすまない』
『それよりどうなさったのですか?兄さんがそんなに慌てるなんて…』
『僕だけじゃないんだ、国中が慌ててる』
『く、国中が?』
反芻し、ルイは事態の深刻さを知った。