「制服か…何で急にそんなものを望むんだ?学校に通いたいのか?」
「…や、学校はそんなに希望してないんです。だけど制服だけ着たいというか」
女心というやつはわかりにくい、とルイは首を傾げた。
とにかくメイが望んでるのだから、叶えてやるつもりではあるが。
「じゃあまとめのテストで高得点を取れたら、好きな制服を取り寄せようか」
「わあいっ」
諸手をあげて喜んでもらったから、嬉しい限り。
無邪気なメイの姿に、つい頬が緩んでいたときだった。
「お食事中失礼します、御電話が入りました」
部屋にノックの音が響く。
普段滅多にこの部屋に近づかないよう言ってあるメイドが、わざわざ電話の一本で尋ねてくるとは。
メイとの時間を邪魔されたルイは、イライラしながらメイに待つように指示した。
仕事の電話なら、野崎が携帯にかけてくる。
家にかかってくる電話は皆無だし、あったとしても“向こう”の友達などからで、急ぎの用ではない。
メイの部屋にいる時にきた電話は無視しろ、あとでかけ直すから。そう言ってあるのにもかかわらず。
メイドのしつけがなってないのだろうか。