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「いっ、いたた、いたい!いたいぞメイ!」



さっきから地味に叩いてくるメイから離れ、ソファのはしっこへ移動するルイ。


二人で座っている白いレース調のソファは、ルイにとって死地と化していた。


「ふなぁう……ぅあ…ひゃぁあああ!手、手ぇ繋ぎましたぁっ」


ルイを追ってソファの端に行き、ばしばしと叩き始める。



メイたちは、ただいまビデオ鑑賞中である。



ほのぼの系恋愛モノで、少女漫画が原作。

よって暴力シーンや18禁沙汰はなし。


とても健全な作品なため、ルイがメイに与えたものだ。


が。

メイはなぜか恋愛モノに物凄く羞恥を抱くらしく。


手を繋いだり見つめあったりするだけできゃあきゃあと叫ぶ。

しかもその感情の捌け口としてルイを使用するのだから、たまったもんじゃない。


「…はあ」


ビデオを見るだけで疲労を感じるルイだった。


「ひゃああ!ご主人様ぁ、大変です!」


耳まで真っ赤にして、手を繋いでるシーンを指差すメイ。


免疫のめの字もない。