野崎に就職先が決まったように、メイにも進路が決まった。



『いやぁ、ティンったら守るだけで私の日常管理を全然してくれないんですよ。コーヒー一杯いれられないもので、よろしかったらうちに来ません?』


とっても軽い感じで決まったそれは、リルのお世話係だった。

エルナリーゼがシャリルに仕えたように、リルに仕えることになったのだ。

しばらく宮女として仕え、仕事を覚えたらリル直々に任命する手筈となっている。


決してティンが役立たずというだけで採用した訳では無い。


彼女にはこれから大きな戦が待っている。


王位争奪戦。


彼女にはまだまだ、姉も妹もいる。


毒でも仕込まれて殺されては構わないから、一切のことを信用できるメイに任せたいのである。


髪の毛を一つに縛るようになったのは、エルナリーゼの真似をしているつもりなのだが、それをルイに言うと快い思いはしないため内緒である。




ルコーラは死刑が決まっている。

先日ルイがリルの計らいで電話をした時、泣いて謝られ――許したという。


メイのことは許さないが、兄弟をないがしろにし続けた事実は許してやると。


それにもドラマがあったのだが、これはメイの物語だ。多くは語るまい。