「あっ、あっ、だいじょうぶですか?」
「いっ……メイ、君は淑女としての自覚がないようだな。そんなことで本当に自立ができるのか?おおらかな日本でさえ認められないような活発さだぞ、……いやそこが利点といえば利点で僕としても愛らしいとこでもあるのだが、何億といる人の中にはそれを欠点と見る人がいる。カサンデュールはそこら辺がとても厳しい国で君は」
「さーてシフォンケーキ食べに行きましょー!」
「……メイ…話を……」
そそくさとシフォンケーキ目指し起き上がった彼女をにらめば、今度はメイが困ったように笑った。
「も〜わかってますですよ、大人しくちゃんとするように心がけるですよ――ルイ」
「…本当か?あごいたいんだが」
「それはごめんなさいです、いたいのいたいのとんでけーっ」
歌いながら患部をさすれば、ルイの機嫌は一気に治った。
「ふふ、飛んでいった」
「それはよかったです」
二人で笑い合いながら、食堂をめざす。
これは、あの騒ぎからの日課になっていた。
それも今日で最後である。
明日には、この屋敷に2人はいない。