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季節はめぐり、しんとした冷たい空気に包まれた朝。
以前より日が登るのが遅くなったな、と目が覚めたばかりのルイは一人思った。
あの事件の前までは違うベッドで眠っていたが、今やふたりは同じベッドに寝ている。
メイのシングルの天蓋付きのベッド、少し狭いが、それも今日までだ。
腕の中ですぅすぅと寝息を立てる愛しい人の頭を撫でながら、優しく呼びかける。
「メイ、朝だぞ、起きなさい」
「……やぁ、です」
相変わらず寝起きはすこぶるよくない。
苦笑しながら、ルイは耳元で魅惑の言葉をつぶやいた。
「……今日の朝食はシフォンケーキだと言っていたぞ」
「!し、ふぉん!」
勢いよく起き上がったせいか、ルイの顎にゴツンと頭が命中した。