「メイ、失礼かもって思ってたけど、やっぱり知りたいんです!

ご主人さまの近くにいろって言うなら、ご主人さまの近くにいていい理由をくださいっ」


目を丸くして、メイを視界におさめた。


そして観念したようにふっと笑う。


目に溜まったままの涙をそのままに、彼は倒れたまま一一そっと背中にしがみつくメイの頭をなでる。


小さい頃からずっと繰り返してきたそれを、愛おしむように、慈しむように、心をこめて。





「――好きだからさ」






8年間。


ずっとずっと溜めていた言葉を吐いた。




「全部全部、メイが好きだから。

だからそばにおきたいし、ずっといてほしかった。

身勝手と笑ってくれてもいい、本当にそれだけなんだ」



つう、と涙がこぼれ落ちた。


「ご主人さま……?泣いてる……」


メイは好きという言葉より、彼の涙が気になって仕方なかった。


だって、初めてみたんだ。


彼が泣く場面を、彼女は出会ってから見たことがない。