これは、わかっていて受け取らない姿勢だ。

受け取ってすらもらえないのか。




「……ちがう、ご主人さま、あのね」

「ありがとうメイ。僕もメイが一一っ、」


そこでメイはハッとして気づいた。


ルイが、今にも泣きそうな顔をしていることに。


必死に押し殺して会話をしていることに。


その続きが言えなかった彼は、悔しそうに顔を歪ませて、慌てて背を向けた。


そのまま瑠璃の部屋からリビングへと向かう。


(だめ…このまま行かせたら、)


彼を泣かせてしまう。

恐ろしくなって、メイは決断した。


後ろから彼に飛びかかって、足元から崩す。

突如飛びかかってきたメイによって顔面から落ちたルイは、驚いて振り向いた。



「……ご主人さまっ!あのね、教えてください!!」



だいじょうぶ、だって彼女は、言ったんだ。

全部を知れって。

知ればきっと何かが変わるはず。


だから、だから。



「メイなんでここにいるんですか、ご主人さまはどうしてメイを拾ったんですか、メイはご主人さまのなんなんですかっ」


矢継ぎ早に言い切って、メイは叫んだ。