「……メイは、何もないです」


返ってきた言葉は、予想外だった。


「メイがそばにいたって、邪魔なだけです。

メイは何も持ってない、空っぽそのものです。

ずっと一緒にいたから最初はさみしいかもしれません、ですがじきになれると思います。だから……」


「言わせない」


顔を上げ、必死にメイを見つめる。


予想ができてしまったその先を言わせるわけには行かない。


「頼む、僕はメイが空っぽなんて思わない。僕が好きなのはそのまんまのメイだ。邪魔だなんて思わない……必要不可欠な人なんだっ」


懇願するように叫んで、気づいた。

メイが寂しそうな顔をしていることに。


「……メイ?」


「どうして……そんなこと、言うんですか」


泣きそうな顔で。


「そんなこと言われたら、メイ、せっかくお兄ちゃんのとこ行こうって思ってたのに、思ってたのに……がまん、してたのに!」



「メイっ」

錯乱したメイに驚き、思わず肩を抱く。

下手に出ていたがもうダメだった。

強行で聞くしかない。


「頼む、さっぱりわからないんだ。なぜ兄のところへ?空っぽなんて?がまんって、なんのことだ?」


「ご…ご主人さま」

「メイのことは、すべてしりたいんだ。頼むから教えてくれないか?」


近い顔、体温。

メイはどうしたらいいのか、ただ目を泳がせて。


「メイは、ただ……だめって言われたから、抑えようとしただけです」