◇◇◇



不審者ではないという事情を説明したのは、あとから追いかけてきた野崎だった。

ルイと野崎はリルから連絡を受けてとんできたのである。

日本語というか常識が通用する彼女にことを説明され、ようやくかかと落としの構えを解いた西だった。


再会ということで空気を読んだ瑠璃は、二人で仲直りするといいと自分の部屋を提供した――のだが。


「………」

「………」


室内は互いに沈黙であった。


メイは罪悪感と気まずさ、ルイはメイへの今までの環境の最悪さを反省して声をかけられず。


互いにどうしたらいいのかと言った状況だった。

仕方なしにルイは、逃げるように瑠璃の部屋に目をやる。


好きなのか統一された猫のキャラクターのぬいぐるみ、コルクボードの写真、壁にかけられた制服。

the女子高生といった部屋であった。


これが普通というものか、とまた胸に突き刺さる。


「瑠璃さん……とやらにお世話になったそうだな。どんな人だ?」


話の切り口が浮かんで、ようやく口から声が出た。


質問は突飛すぎただろうか、とメイをちらりとみて。


「瑠璃さんはすごくすごく綺麗な人なんですよっ」


拳をにぎって熱く語りはじめたのでおどろいた。