『…メイちゃん。あなたは今まで、どうしてずっと閉じ込められていたか知っていますか?』


「ふぇ?」

予想だにしない質問を投げられ、メイは必死に思考を回転させる。

そういえば考えてもよくわからなかった、と。

「……わからないです」

『そうでしょう』



まさか、リルは知っているのか。

とことんそこの知れない人だと目を丸くするメイだった。




『帰りなさい、帰ってあなたは、全部を知りなさい』




やけに威厳のあるよく通る声。

美しい声に陶酔し、従いそうになる。


「で、でもメイ…黙って出てきちゃったから、きっとすごく怒られちゃう……」


『だいじょうぶです、あんまり怒らないでって私が言っておいてあげます。

メイちゃんだけが悪いんじゃないんですよ、ルイさんだって悪いところはある』


呆然と聞いてしまう。

自分だけが悪いわけではない、そんな甘い言葉に導かれたのか、帰ってもいい気がしてきた。


「メイ…ご主人様とこれからどうしたらいいのかわからないんです。
メイ汚いし、恥ずかしいです」


『言いましたよ、あなたは汚くなんかない』

そう言われると自信がついてくる。

思っているより自分は、だいじょうぶな気がしてくる。