『カサンデュールの王族の嫁であるメイを傷つけた損害は、一生償ってもらう』
『これは国に喧嘩を売ったことになる』
『ろくな知識も持たないで思うがままに傷つけた罪は、この町から消えることで償ってくれ』
『すべてから縁を切って、国にでも帰ればいい』
『消えていなかったら、両親親族友人すべてにお前の悪行を収めた映像を見せよう。ついでに警察にも見せようか』
『罪を償ったあと、僕直々に罰を下すのも良い。一生目が開けられないようにしてやろう』
女は、恐怖して、すぐに条件を飲んだ。
その足で家庭教師をやめさせ、そうそうに変えると言わせた。
二度とメイに近寄って欲しくなかったのだ。
「社長っ…!」
叫ぶ野崎にニヒルに笑うルイ。
「一般人にカサンデュールの事を口にしたのですか…!」
「まあ怒るな」
「変に調べられたらどうするつもりです!カサンデュールは、“隠された国”なのに!」
カサンデュール。
正式にはその国は存在しない。
大国に吸収され、それから独立をしたとなっているが、その大国はそれを公表しなかった。
その国を隠し、目立たぬように保護してきた。
厄介だが、訳あって絶対になくしてはならない国だ、と。
そう判断したからである。
ただ、国からの威圧という脅し文句はとても良く効いた。
現に女は、命乞いすらしてきたのだ。