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それから、二週間が経った。


正直言って、ルイは参っていた。

リルが去り際に残した『作業』が多すぎて、大変面倒だったからだ。

何を残したかというと、簡単に言えば一一父親を消すことだった。


ルコーラの生きてきた形跡をすべて消すのが、極刑に含まれているのだ。


そのために普通は孫子に至るまで殺すのだが、それはリルが阻止してくれた。

そのかわりというか、生きてきた形跡を消す事務作業をすべて課してきたのだ。

まず、様々なものを踏み台にして築き上げた、国内トップの貿易会社を剥奪した。

剥奪した貿易会社の置き場所をルイに、リル自ら指定した。

つまりは、ルイが会社を継ぐのだ。

もとより会社は兄が継ぐ予定だったのだが、ルイを指定したのは協力してくれた礼でもあった。

しかしそうしては兄の面目が立たないのではないか、そんなことで兄との仲が悪くなりたくないとあせったルイは、共同経営という形にした。

そうなると利益の分配やらなんやらの手続きが倍になり、それに追われた。

兄に任せようかとも思ったが、向こうは向こうでこちら以上に忙しい。

リルの姉と手を切るため、四苦八苦しているのだ。

リルの協力があっても、王位継承者を消そうとした人物と繋がっていた者との経歴は汚点になる。

離婚だって手続きが多いのだ、向こうも大変だろう。

貿易会社の次は、屋敷の処分である。

何しろ彼は私物が多いので、それらの処分が大変だった。

いちいち分けていては大変だし、業者に頼むことにした。

コレクションした骨董品は、欲しいものにすべて売った。

いい思い出のない屋敷もすべて取り壊して、その上に新しい家を建てることにした。

なにしろ形跡をすべて消さねばならないので、家を壊さないことには建てられないのだ。

カサンデュールに家がないと帰るところのないルイは、どうしても家が必要だった。

だから一度壊して、それから新しい家を建てた。

カサンデュールに帰ってやれば話の早い手続きが多かったが、ルイは帰りたがらなかった。


メイのそばにいたかったからである。


実はルイが参る理由のひとつに、メイも含まれていた。