「とにかく、あなたはルコーラのこと憎いですね?」


「はい」

「では、迷いなく殺せます」


笑顔でそういうリルに、メイはずっと訪ねたかったことを聞いた。


「あの、……リルちゃん、お国に帰るんですか?」


「はい…あらあら、寂しいんですか?」


くしゃりと顔を歪めたメイの頭を撫でれば、こくりとうなずいた。

愛らしさにふ、と笑んだリルは、ティンを見やる。

なんとなく言いたいことが分かったティンは、ため息をついた。

「また戻ったらなんて言われるか」

「なんとでも言わせておけばいいじゃないですか。あなたも可愛いでしょう?」

「……」

じっとメイを見て、ティンもおそるおそる頭に手をのせた。

気を使っていたのだが、メイは大丈夫なようだ。


「…戻れれば、戻ってくるよ。俺だってメイにあいたいし」


ぱっと顔を輝かせたメイは、二度と会えないかもしれない恐怖から開放される。

「待ってますです」

「いい子ですね。ルイさんと仲良くね」


子供たちは笑顔で別れを告げ、再会を約束しあった。



後ろ髪をひかれながら、その翌日に彼らは日本を去ることになった。

国家の大罪人、ルコーラを連れて。