ではなぜ、まだ震えてるのか。



「メイ…!良かった、きちんと戻って……」


メイは退化してる間のことは忘れる。

だからいつもどおり胸に飛び込んでくれると、そう信じてたのに。


「……ふぇ、うぐ、う、」


泣きじゃくった。

布団で肢体を隠しながら、えぐえぐと泣き始める。

「メイ……?」

明らかにおかしい。

顔を確認しようとして、また逃げられる。


「メイ!」

「見ないでくださいです……!」

絞るような声で、言われた。


「お願い…今、ご主人様、嫌です……!」


「……え?」

まさかの拒否。

愕然としてると、また泣かれた。

「え、え、え、」

あたふたして、気づいた。


そうか、今彼女は裸だ。

見られたくないとか、そういう問題か。


「すまない……気づかなかったんだ、野崎に変わろう!」

急いで空いた穴から野崎を呼ぶ。

「野崎っ!野崎ぃい!」

「なんでしょうか社長!」

「メイがお前がいいって……」

「わ、私ですか?社長じゃなくて?」


ルイに甘えたいだろうと思ってたのだが。


「……メイは今裸だ、風呂に入れさせて、服を着せてやって欲しい」


「一一え?」

そして察した。

察して、怒りが湧いてきた。


「嘘だ……そんなっ」

「頼む」


それだけ言って、ルイはふらふらと廊下を歩いた。

どこへ行くのかわからなかったが、それよりも野崎の頭の中は混乱していた。


「……信じられないっ」


まだあんな子供を。

怒りのままに部屋にはいれば、布団にくるまったメイがいた。


「……っ」


思わず息を呑む。

どう接すればいい、なんて言葉をかければいい。

凌辱を受けたばかりの女の子と接した経験なんかなかった。