そしてルイは自室で、野崎は用意した部屋で休むことになった。

高遠は玄関の近くの客間で、ルコーラたちの変動を待っていた。



それから、三時間後のことである。



ルコーラが男達を連れて出ていったのは。


夜中なのに音もなく車を走らせて、去っていった。


いなくなったことを確認して、急いでルイたちのもとへ報告しに行く。

もともと眠りが浅かったのかもしれない、すぐに起きた彼らと共に、例の部屋の前に行った。


「メイっ!いるか!?メイ!」


ドンドンと音を鳴らしてメイを呼ぶ。

しかし、何の返答もない。

当然、鍵が変えられてるため、開くことはない。

だから中から開けてもらうしかないのだが。


「ルコーラ様は手ぶらでした…、中にいることに間違いはないかと!」


「じゃあどうして返事が……これだけうるさければ起きるはずなのに!」


野崎が悲鳴に似た声を出した。



「……もしかしたら、退化してるのかもしれない」



「退化?」

「……メイは暴力沙汰に巻き込まれると退化してしまう」

強盗が入ったかのような野崎の部屋。

あんなのに巻き込まれれば、退化もうなずける。

「あ……あの過呼吸の……」

高遠が顔を歪めた。


あの時のメイは酷く苦しそうだった。


またあんな目にあってるのか。


「だとしたらまずいな。今のメイは6歳児。僕のことも忘れてる」


「え?」

「……扉の向こうのメイには、僕がただの怖い人に見えてるだろうな」


夜中にいきなり訪ねてきて名前を連呼する。


自分だったら借金取りを連想するな、と野崎は苦い顔をした。


「どうするんですか!?」


「こじ開けるか、無理やりにでも」


「ええ……!?」

野崎の問に強硬手段で答えた。