「どうしましょうか」
「乗り込むわけには行かないな。まくし立てられてしまう」
「え?」
意外だった。
ルイなら真っ先にメイを救いに行くかと思ったのに。
「行かないんですか?」
「……野崎」
意見を求めるように野崎の名を呼ぶ。
ちらりと野崎は時計を見た。
12時を回っている。
とにかく、ルイも自分も休まなければ。
一刻も早くメイを取り戻したいのは山々だが、そうも行くまい。
「……社長、リル様の憶測が本当ならば、恐らくルコーラ様は近々動き出すと思います」
今日か明日にでも、リルを殺しに。
「ですからやはりルコーラ様が出かけられた時を狙う方が良いかと」
「賛成だ。ありがとう野崎」
「……いえ」
「ということだ、高遠」
なにやら事情があることはわかった高遠だった。
「では見張ってましょうか?」
「見張る?」
「……見た所、おふたりはお疲れのようです。だから、私がルコーラ様のお出かけの際に起こします」
なにか役に立ちたかった。
メイのために尽くしたかった。
じゃないと、怖かった。
不安で不安で。
「……高遠…」
「私、この間メイ様にお会いした時、思ったんです。お二人を応援したいって。だから……」
失礼だとはわかってる。けれど。
「協力させてくださいっ!」
二人が一緒にいないのは、嫌だった。
二人が仲良く支え合う光景が見たかった。
あれほど愛を感じた光景はない。
「……社長、協力して頂きましょう」
「野崎」
「甘えた方がいいこともあるのですよ」
そう言われて、ルイは決めた。
「……お願いしていいか?」
「はいっ」
頼まれたことが嬉しかった。