「事態はよくわかりました。

なるほど、よく考えましたね。それならば正式にメイちゃんをルイさんの鞘に納めることが出来る」

「え?どういうことだ?」

「あのね、ティン。メイちゃんはもともとはルコーラさんのもの。だから、いまルイさんが所有権を主張しても無駄なんですよ」



もともとメイはルイのものではない。


こっそり隠し持っていたのを、元の持ち主に見つかって持っていかれた。

それを僕のだというのは、逆に隠し持っていたのを追求された時のリスクを考えても頭がない行動だった。


ならば、失脚させてその手を手錠だかなんだかで繋ぎ、こぼれ落ちたメイをルイがまた拾えばいい。


それが一番単純で簡単だった。

「ありがとうございます、なら…」

「しかしルイさん、一つ聞いても良いでしょうか」

「はい、なんでしょうか?」


「あなたは、仮に私がルコーラさんを懲らしめてメイちゃんを取り戻したとして一一どうするつもりなのですか?」


「ど、うするって」

「メイちゃんの進路のお話をしているのです。まさかそのまま監禁生活を続けるのですか?」


ルイは固まった。


取り戻す事ばかりを考えていて、全くそのことを頭に入れていなかった。

いや、まさかその話をされるとは思わなかった。

リルのは面識のないメイの進路相談をされるとは、と驚いた。

「……父を失脚させてメイを外に出せるようになったら、その時はメイを学校に通わせます」

「へー…なぜ?」

「メイは高校に憧れてる節があります、だから…」

そう答えたが、リルの顔は晴れなかった。

むしろ不機嫌そうな顔をして、ルイを睨む。