◇◇◇
「……」
ホテルの部屋に入ってそうそう頭を下げてきて、そのままのルイにリルは思案していた。
何をしているのやら。
いきなり頭を下げられても、どうしたらいいのかわからない。
「…なんでしょう、なにか頼みごとでも?それともミスを?」
「…リル様、前者でございます」
「まあ…。世界征服以外ならば叶えますわ」
手を口に当てて、クスクスと笑う。
「あなたには感謝もしているのです。遠慮なく仰ってください」
「……では、リル様。大変恐縮なのですが」
重々しい口を開く。
「一一十年前のことをお話ください」
「……」
笑顔を崩さなかった。
だからこそ後ろに控えていた野崎は恐ろしいと思った。
自分のトラウマみたいなことを言われてもまゆ一つ動かさないのだ。
「おいルイさ一一」
噛み付きそうになるティンを制し、リルは答えた。
「…理由は?その情報を何に使うのです」
「話せば長くなるのですが」
「結構です。どうぞ、お座りになって」
ホテルについている大きめのテーブルに案内してくれる。
なにがなんでも話させるつもりらしい。
メイの存在を話すのはルイとしてもあまりいい気分のすることではないが、ここは彼女の協力なくしては進まない。
おとなしく座って、リルに話した。