愛してくれる人。


彼女にもいた。

でもそれは、彼女が得られなかったものをもっている人にとられた。


ムカつきは最高潮に達した。


「死、んじゃえ」


生徒が座る椅子を勢いよく蹴って、生徒ごと飛ばす。

「きゃぁっ」

その声を可愛いと思った自分にムカついた。

「な、何するですか…ひっ」

文机に置いてあった紅茶のカップを投げつける。

カシャンッと音をたてて、生徒の額に当たって砕けた。


あんたは、なんで、そんなに、幸せ、なんだ。


教科書やペン、色んなものを生徒に片っ端から投げつけた。


生徒の体の節々に当たり、生徒を苦しめている。

いつもなら快感に震えるが、今日はいくら傷つけてもやり場のない怒りに、収まらなかった。


「何が違うんだっ!わたしとあんたの、何が――っ」


環境?容姿?


「なんの努力もせず、のうのうと暮らしやがって!

世間を知らないくせに!」


一丁前に愛されるだなんて。


「死んじゃえっ!死んじゃえ死んじゃえ死んじゃえ死んじゃ――…」



無我夢中で傷つけていて、気づかなかった。



「…くっ…はぁ……ひぃっ…んんん…はあっ…」



「ちょっと――」


明らかにおかしい息づかいに、手をさしのべて


「きゃぁああっ」


叫ぶ。