「……し、社長…!メイさんがっ…め、……」


野崎が真っ青になってる中、ルイは拳を握りしめてへたりと座り込んでいた。

「しゃ、ちょう?」



「………一一やられた」



低い低い声。

髪の毛で顔が見えないが、怒りで歪んでるのだろう。

全身を震わせて、恐ろしいほどの殺気を纏わす。
いつもメイにのろけて、仕事を真面目にやる彼とは大違いの雰囲気に、野崎は後ろへたじろいだ。

「一一父上だ。あの野郎、勘づいてたんだっ…」

「っ、」

目を見開いて、野崎はルイに問うた。

「だって、ルコーラさまはリルさまを探してて…!」

「偶然知ったんだろう。たぶん、屋敷の使用人にでも」

「そ、んな…私のマンションが付けられてたのでしょうか」

「そうだろうな」

「うそ……」


全く気づかなかった。
野崎は愕然として、そして叫んだ。



「……も、申し訳ありませんっ!
私の選択ミスです、メイさんをホテルにしておけばこんなことには……!」


「…野崎」

「オートロックでも安全とはいえませんでした、この責任はなにがなんでも…」

「野崎っ」

座り込んで、地に頭を伏せる。

ルイに土下座が通じるかわからないが、野崎は必死だった。


頼むと。
そう言われたのに。


罪悪感で押し潰されそうだった。

死にたくなるほどの罪悪感は、生まれて初めてだった。


「やめてくれ、その先は言わせない」

「社長っ!これは私のミスで」

「ちがう、悪いのは父上だ」

有無を言わせぬ態度に、野崎はどうしたらいいのかわからなかった。

責任を取らないと、だってこれは私のせいで。
そんなことがぐるぐるしていた野崎は、
はたと気づいた。



「……社長?」



ルイが、おかしい。